圧迫骨折(椎体骨折)について
概要
背骨の前方にある椎体が壊れて変形してしまう骨折を「脊椎圧迫骨折(脊椎椎体骨折)」といいます。
若・壮年者が交通事故や転落事故で受傷することもありますが、多くは閉経後の女性の骨粗しょう症による骨脆弱性(骨が脆くなる)を背景として高齢者にみられる外傷です。
骨粗しょう症以外では、転移性骨腫瘍など腫瘍が転移した部分の骨が弱くなり、圧迫骨折が引き起こされるケースもあります。
症状
あまり痛みを感じないケースもありますが、多くはズキズキとした痛みを感じることがほとんどです。
また、急に背中や腰に強い痛みを感じ、寝返りや仰向けができなくなったり、前かがみでしかいられなくなったりすることもあります。
多発性の脊椎圧迫骨折を生じると、背中が丸くなり(円背)、身長が低くなります。
その結果、立ち上がったときのバランスが取りづらく、歩行困難につながります。また、逆流性食道炎による胸焼けや呼吸機能に問題を生じることもあります。
なお、転移性骨腫瘍による圧迫骨折は、骨折した部分を動かした時だけでなく、安静にしている時でも痛みを感じるという特徴があります。
当院の検査・診断
圧迫骨折が疑われる症状の患者さんにはまずレントゲン撮影を行い、骨折による椎体変形を確認します。
変形が新しい骨折(新鮮骨折)によるものか、すでに治って変形のみ残っている骨折(陳旧性骨折)によるものか、判別が困難な場合があります。また新鮮骨折はレントゲンでは分かりにくい場合が多いです。その場合、当院ではMRI検査を行い診断をします。
骨密度検査や採血を行い、骨粗しょう症がないか調べます。
下図←の部分が圧迫骨折がある椎体。MRIのSTIR(脂肪抑制画像)で白く光っているところが新鮮圧迫骨折を示します。
当院の治療
圧迫骨折と診断された日から、装具(フィットキュア・スパイン)により固定を行います。
装具による固定を受診日に行うことで、「安静」のため横になっている時間を短縮でき、高齢の患者さんでは寝たきりを予防します。
数週間レントゲン検査を行い、骨折による椎体変形が進まなければ、コルセットに変更します。
転倒予防や寝たきりにならないように理学療法士によるリハビリも行う場合があります。
参考:フィットキュアスパイン
予防/治療後の注意
脊椎圧迫骨折の予防・再発防止には、骨粗しょう症の治療と転倒防止策が必要です。
特に骨粗しょう症の治療は最重要で、骨密度検査を定期的に受け骨粗しょう症の早期発見と早期治療を行うことが、脊椎圧迫骨折だけでなくすべての脆弱性骨折の予防には必須です。
また、家の中に手すりを設置したり、滑りにくい靴下を履いたりと、転倒に気をつけることも大切です。
なるべく前かがみを控え、無理な姿勢や重い荷物を持つことなどは避けましょう。日頃から適度な運動を心がけ、筋力低下を防ぐことも有効です。
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